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zoom RSS 悪くない諦観。NHKスペシャル「立花隆、思索ドキュメント、がん」

<<   作成日時 : 2009/12/02 23:40   >>

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もう一週間も前に放送された番組なんだけれども、強い印象が残っている。

「私は抗がん剤治療はしない。」
親友をがんで喪い、自らも患っていながら立花隆はそう言った。悲痛な決断と言うべきだが、彼の言葉は勉めて平静だった。

立花隆が最先端の現場を尋ね歩き取材した結果知り得たことは、救いのない答えであり、がんの不思議だった。

抗がん剤は数ヶ月死を延期できることもあるが、そのために大きな苦痛を伴う。とてもQOL(生活の質)を落としてまで試みる価値があるとは言えない。
ニクソンの時代から、叡智を結集し、莫大な資金が投入されてきた。そして次々発明された抗がん剤。なのになぜ抗がん剤は有効に作用しない。がんはなぜそれほどまで強いのか。
それこそがこの番組のテーマだ。

がんのメカニズムの解明は大きく進んだ。その知見に基づき新しい抗がん剤が開発される。例えばがん細胞内には細胞分裂を促す情報伝達ルートがある。その情報伝達を阻害するクスリが開発された。最初そのクスリは有効に作用する。しかし、がんは情報ルートを閉ざされると、ルートの途中にある物質が勝手に情報発信を始めた。

あるいは、がん細胞が生きていけないように生存環境に酸素や栄養が届かないようにしてみる。すると、がん細胞は驚いたことに自分で移動を始める。これが浸潤のメカニズムでもある。

なんとまあ。

がんはこうした能力をどうやって獲得したのか。
実はがんが持っているこれらの驚くべき能力は、人間が果てしない進化の過程で獲得してきた能力でもあったのだ。今まで淘汰を勝ち抜いてきた人間の強さ、それががんの強さでもある。

なるほど強いはずだ。
考えてみれば、人間が今この世界に存在しているということはものすごいことだ。徹底的に合理的で、あきれるほどしたたかで、嫌になるぐらい運が強い。だからこそ人間は今この地上で飲んだり食べたり泣いたり笑ったりセクスしたりブログを書いたりしている。

そうか、がんよ、お前はそう言うの引き継いじゃったか、、、。まいったなあ。

まあ、いいや。そんなに強いと知ってかえってさばさばしたような気持ちだ。人間はいつか死ぬ。ずっと生きていればいつかは必ずがんになるらしい。しょうがない。将来がんが克服されることもあるのかもしれないが、それはだいぶ先のことのようだ。

自分がじたばたするかどうかは判らない。でも、がんがそう言う奴だと知って奇妙な諦観がある。命が懸命に獲得した強さそのものががん。うーん。しょうがねえなあ。

たぶん自分はじたばたする。泣いたり喚いたり突然笑ったりする気がする。まあでもそういうこともひっくるめてしょうがないやとうまく諦められるような気もする。

立花隆はがんが自分の命を終わらせるだろうと知りながら、がんにまっすぐに向き合い、「取材して書く」という人生を全うしようとしている。その潔さに触れたことがこの悪くない諦観の理由だ。




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