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zoom RSS 大阪国際女子マラソン あまりに劇的な渋井陽子の復活。

<<   作成日時 : 2009/01/26 06:52   >>

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最初から渋井陽子だけ見ていた。たぶん勝てないと思いながら。

2001年、初マラソンに世界最高タイムで優勝した天才はその後苦しむ。スタートから飛び出すが後半失速し惨敗。もう何回もそういうレースを繰り返している。
昨年11月の東京国際でも同じだった。これまでの失敗を振り払おうとまたも前半から飛び出しリードするが、やはり後半一気にスピードを失った。彼女の横を後続ランナーが次々と追い越していく。懸命に抗っても足は動かない。同じことの繰り返し。為す術なく目線を落とす。すべてを賭けたマラソンから彼女は見放されようとしていた。

それからわずか二ヶ月、無謀の声を余所に彼女は大阪国際への出場を決めた。冷静さを欠いた決断じゃないか。もしもここで惨敗を重ねてしまえばそのダメージは回復不可能なほど深いんじゃないか。そう思った。彼女はなぜ無理を繰り返してしまうのか。

レースは極端なスローペースで始まった。
いつもなら焦れて飛び出す渋井が先頭グループ中ほどに身を潜め淡々と走っている。10キロを過ぎても位置取りは変わらない。もしかするとこれまでとは違う結果になるかもしれないという小さな予感。それでもまだ勝てるとは思っていなかった。きっと彼女もそうだったはず。当たり前だけど前半セーブしたら良くなるってほど単純じゃないだろう。そもそもスローペースは苦手だ。「こんな走り方は自分を潰してしまうかもしれない。」「スローペースが得意な選手に有利なだけかもしれない。」「自分の走り方を捨ててそれでも負けてしまったらもう自分は立ち直れない。」無数の不安がよぎっていたと思う。すぐ前を走る赤羽選手がやけに落ち着いて自信たっぷりに見えたかもしれない。

これまで彼女に無謀なスパートを強いてきたのもそうした不安だったのではないかと思う。
レースでの自分の能力を超えた飛び出し。準備期間不足での今レースへのエントリー。どちらの理由もきっと不安とか、怯えだ。一見ふてぶてしい態度の裏には小さな子供のように怯える彼女がいたのだと思う。「早くしなければ、急がなければ、自分を日の当たるところへ引き連れてきてくれた何者かが走り去ってしまう。今見失ったらもう二度と出会えない。急がなければ。」そういう不安が彼女から冷静さを奪った。自分の調子を見極め、ライバル達の表情を伺い、好機を待つ強さを失わせ勝利を遠ざけてきた。

トップ集団の中の好位置をキープしたまま折り返しを過ぎたときに、もしかすると勝つかもしれないと思った。彼女は今、彼女を長く苦しめた心の弱さを乗り越えようとしている。そう思った。
スローペースに焦れた様子もなかった。中継では「渋井の走りに余裕がある、いい状態だ」と言っている。素人目にもそう見えた。

そして渋井は29キロでスパートした。この時は正直早すぎると思った。また繰り返してしまうかもしれない。しかし杞憂だった。31キロあたりで彼女はさらにペースを上げる。そこからは圧巻だった。食らいつく赤羽を置き去りにしどんどんその差を広げた。まるでペースを上げれば上げるほど調子が良くなるんだとでも言うように笑顔まで見せた。

そのままの勢いでスタジアムに駆け込むと大きな歓声が迎えた。応えるように観客席を見やり、渋井は全身から喜びを溢れさせて走っていた。熱くなりすぎた体を冷やすように、いつの間にか雨が降り出している。
これまで彼女を応援し続けてきた人たちはゴールの瞬間きっと泣いていただろう。スポーツで人が身につける最良のものは自分に打ち克つ強さだ。正にその瞬間に出会ったのだから存分に泣けばいい。

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気ままな毎日
2009/01/27 23:42

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